私はコピーライターをやったり、ランディングページを作ったり、商品やサービスをマーケティングするときにお客様のどんな感情を解決したいのかわかりませんでした。
というのも、人には感情にはどんな感情があって、感情が要素別に分類・階層化されているのか知らなかったからです。
そこで感情の全体像を調べ始めたどり着いたのが、プルチック教授の感情の輪という一つの理論でした。
今回は、プルチック先生の理論をもとに、感情の分類をお伝えしていきたいと思います。
是非、ランディングページやコピーライティングだけではなく、お客様のどんな感情を解決できるか、その訴求ポイントの強化に利用してみてください。
プルチックの感情の輪とは
1980年に心理学者ロバート・プルチックさんが考えた理論です。まずは全体像を御覧ください。
中心の8つの感情が基礎となります。
プルチックの感情の輪の見方もお伝えすると、以下の通りになります。
8つの基本感情(中心部) | 意味(広辞苑より) |
---|---|
歓喜 | 大そうよろこぶこと |
敬愛 | うやまい、親しみの心を持つこと |
恐怖 | 恐ろしく感ずること |
驚嘆 | 驚いて感心すること |
悲嘆 | かなしみなげくこと |
強い嫌悪 | 強く憎みきらうこと。不愉快に思うこと。 |
激怒 | はげしく怒ること |
警戒 | 万一に備え注意し用心すること |
円から中心に表にしてみると
感情の強さ(強) | 感情の強さ(中) | 感情の強さ(弱) |
---|---|---|
歓喜 | 喜び | 平穏 |
敬愛 | 信頼 | 受容 |
恐怖 | 恐れ | 不安 |
驚嘆 | 驚き | 放心 |
悲嘆 | 悲しみ | 哀愁 |
強い嫌悪 | 嫌悪 | うんざり |
激怒 | 怒り | イライラ |
警戒 | 期待 | 関心 |
- 対局側:反対の感情を表します
- 近いもの:似ている感情をあらわします
- 感情の強弱:中心から強い感情、外側にむかって弱くなっていく
このようにして見ていってください。
8つの基礎感情の組合せで様々な感情がうまれる
プルチックの感情の輪を調べて面白いなとおもったのは絵の具のようだと感じた点です。
絵の具も、紫色を作りたかったら、赤色の絵の具と青色の絵の具を混ぜるのと同じように、
ある感情とある感情が混ざって「ある感情」が生まれるという点でした。
それをプルチックさんは混合感情と言いました。
近い感情が混ざって生み出される感情はこの通り。
隣同士の混合感情 | 意味(広辞苑より) |
---|---|
愛(信頼&喜び) | いつくしみ合う心。このむこと。めでること。 |
服従(信頼&恐れ) | 他の命令または意思に従うこと |
畏怖(恐れ&驚き) | おそれおののくこと |
拒絶(驚き&悲しみ) | ことわって受けつけないこと |
後悔(悲しみ&嫌悪) | 前にした事を後になって悔いること |
軽蔑(怒り&嫌悪) | 見下げること |
攻撃(怒り&期待) | 攻めてうつこと |
楽観(期待&喜び) | すべて物事を好都合に考えること |
一つとばしの混合感情
さらに一つ飛ばしの感情が組み合わさると
この通りになります。
一つ飛ばしの混合感情 | 意味 |
---|---|
運命(期待&信頼) | それをもたらす人間の力を超えた作用 |
罪悪感(喜び&恐れ) | 自分が罪悪を犯したと思う気持ち |
好奇心(信頼&驚き) | 珍しい物事、未知の事柄に対する興味 |
絶望(恐れ&悲しみ) | 望みのたえること |
憤慨(驚き&嫌悪) | いきどおりなげくこと |
悲憤(怒り&悲しみ) | かなしみ、いきどおること |
皮肉(期待&嫌悪) | 骨身にこたえるような鋭い非難 |
自尊心(喜び&怒り) | 自分の尊厳を意識・主張して、他人の干渉を受けないで品位を保とうとする心理・態度 |
二つ飛ばしの混合感情
二つの感情を飛ばすと
このような感情が生み出されます。
二つ飛ばしの混合感情 | 意味 |
---|---|
不安(期待&恐れ) | 安心のできないこと |
感動(喜び&驚き) | 深く物に感じて心を動かすこと |
感傷(信頼&悲しみ) | 感じて心をいためること |
侮辱(恐れ&嫌悪) | あなどり、はずかしめること |
憎悪(怒り&驚き) | ひどくにくむこと |
悲観(期待&悲しみ) | 物事がうまくいかず、悲しんで失望すること |
不健全(喜び&嫌悪) | 精神・思想・もののあり方などが普通でなく、かたよっていること |
優越(怒り&信頼) | 他よりすぐれまさること |
なぜマーケターは人の感情を大切にしなければならないのか
重要なのは、プルチックの感情の輪を知り感情の分類をどう使うのか?という点ですよね。
マーケティングにおいて覚えておかなければならないマインドを一つご紹介します。
人は感情で行動し論理で理由付けする
お客様は論理的に買い物するわけではありません。
情動が動き感情が揺さぶられたときに「欲しい」と思います。
そして、後に、なんで「欲しい」かというと…言った具合で理由づけしますよね。
そしてもう一つ感情について重要なマインドをご紹介します。
人は感情を感じるため、または、感情を解決するために買い物(問題解決)する
人はそもそも物を欲しがっているわけではありません。
その物を手に入れたときにどう感じたいか、あるいは今のこの感情をどう処理したいかが焦点になっているはずです。
人間の感情の分類を知らなければいけなかった理由とは?
私も含めて、人間の感情の分類を知らなければいけなかった理由は、マーケター本人が感情を言語化できていないと、その感情を訴求する切り口を見過ごしてしまうからです。
例えば、美容外科クリニックをマーケティングするときを例にしてみましょう。
女性が「キレイになりたい」と訪れます。
しかし、この女性は「キレイになりたい」と思った背景にはどんな感情を得たいのでしょうか?あるいはどんな感情を解決したいのでしょうか?
もしかしたら、
- 愛されたい感情を感じたいと思っているかもしれない
この愛とは、プルチックによると、「喜び」と「信頼」から生まれる感情でしたね。
となると「愛される」訴求をしながら、「喜ばれる」部分と「信頼される」部分も合わせて訴求すると力を発揮できる訴求ができますよね。
あるいは、
- 自分のコンプレックスに悲観している感情を解消したい
プルチックの理論によると「悲観」は「悲しみ」の感情と「期待」の感情が合わさって生まれている感情でした。
であるならば、悲観の感情を解消することができる訴求で、相手を安心させてあげられます。
また、「悲しみ」に対して共感もしてあげられるし、未来の理想の姿への「期待感」も見せることができますよね。
感情のマッピングとポジショニングがわかれば訴求の切り口が広がる
このプルチックの感情の輪のマッピングのすごいところは、感情を逆戻りできるできる点(うまれた感情の構成要素となる感情もわかる)、感じている感情と近い感情を可視化し言語化している点であると感じました。
繰り返しになりますが、あなたの商品やサービスが何であろうと、お客様は
- 感情を感じたい
- 感情を解決したい
と思ってあなたの商品やサービスを購入されます。
であるならば、
- 感じたい感情・解決したい感情を分解して上流にさかのぼった感情も訴求できるし、
- 感じたい感情・解決したい感情と近い感情も合わせて訴求できる
という点も有効的に使えることがわかりました。
まとめると、
人間にはどんな感情があるのか?そして、その感情を言語化して理解しているか?を抑えていれば、ペルソナに合わせて、様々な訴求の切り口を用意できるのです。
プルチックさんの感情の輪まとめ
人間の感情をマッピングして分類して階層別に整理できれば、マーケターとしてお客様への訴求の幅が広がりますね。
今までモヤモヤしながらもユーザーの感情ってどんな感じだろう?と自分の中での思いつく感情を書き出していたけど、もうこれで、そこに数時間も使う必要はなくなりましたね。
この表を見ながら、訴求を考えればいいだけになりました、プルチック先生、ありがとう。
広告クリエイティブを作る際にも、バナーも感情に合わせたクリエイティブにすることができます。
ランディングページも今回は「この感情を解決できる」LPにしてみようと、いくつも訴求の切り口を広げることができますね。
あなたも試してみてください